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ラピュタ/自動倉庫の売上目標100億円、既存拠点の需要取り込む

2024年01月24日/IT・機器

ラピュタロボティクスは1月24日、平野本社(東京都江東区)で自動倉庫「ラピュタASRS」のデモンストレーションをメディア向けに披露した。

<ラピュタASRSデモ稼働の様子>

<ピッキングのデモンストレーション>

ラピュタASRSは、複数のオーダーを同時に処理するマルチオーダーピッキングに対応したGTP(Goods To Person)型のピッキングシステム。

マルチロボット協調アルゴリズムによって300台以上のロボットを同時に制御することが可能。全高80mmの薄型配送ロボットが倉庫のフレーム内を縦横無尽に走行し、回収したビン(保管箱)をピッキングステーションに順次届ける仕組みだ。

フレーム部材は樹脂製で、軽量かつ丈夫に設計されており、モジュール工法で自由に組み上げられるため、倉庫の大きさに合わせた柔軟なレイアウトが可能。工具も不要で手作業で組み立てられることから、短期間で設置を完了できる。

また、家庭用電源と同じ100V電源を使用できるため、キュービクルの増設を必要としない。

<フレームは女性でも簡単に組み立てが可能>
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<モーハナラージャー ガジャンCEO>
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当日は、デモンストレーションに先立って、同社のモーハナラージャー ガジャンCEOがラピュタASRSの概要を説明した。

ガジャンCEOは、ラピュタASRSの特長として、GTP型によるピッキングの生産性の高さと、倉庫の上部空間を生かして高い保管効率を実現できる点を挙げた。

また、モジュール工法によって段階的に規模を拡張できる特徴を生かし、従来の自動倉庫では困難な開設済み拠点での導入需要を取り込むことで、2024年内をめどにラピュタASRS単体で100億円の受注を目指す考えを明らかにした。

モジュール工法については、既存倉庫のマーケットを取り込むことを念頭に、製品開発の初期段階から採用を決めていたと説明。フレームの柱に使用する部材には、コストを抑えるため当初は木製にすることを検討していたが、同部材の製造で協業することになった三井化学からの提案を受け、樹脂製にすることを決めたという。

樹脂にはガラス繊維が練り込まれており、軽量でありながら高い耐久性を実現。また、しなりによって地震の横揺れも吸収することができた。なお、縦揺れには柱の足元に免震機能を持つゴム製のキャップを履かせることで対応している。

<ピッキングステーション>
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デモンストレーションでは、担当者による操作説明が一通り行われた後、来場した報道関係者の一部がラピュタASRSを用いたピッキング作業を体験した。

ラピュタASRSのピッキングステーションには、作業者をコの字型に囲むかたちで、商品を格納したコンテナ(ビン)が搬送ロボットによって配置される。

作業者は、装着型のバーコードリーダーで指定されたビンから商品を取り出してスキャンし、指定された他のビンへと商品を格納したのち、ビンの手前に配置された終了ボタンを押す事で作業が完了する。

ステーションの上部にはビンを白色と緑色に照らすライトが取り付けてあり、商品を取り出すビンが白、格納するビンが緑に照らされることで、対象のビンをすぐに見つけることができる。

また、ステーションの正面にはピッキング対象となる商品の名前や個数、3Dモデルによって対象のビンの配置が表示されたモニターが設置されており、モニターの情報を確認しながら作業することで、より正確にピッキングを進めることができる。

作業を体験した感想としては、ライトによって視覚的に対象のビンが把握でき、「白のビンから商品を取り出してバーコードをスキャンし、緑のビンに格納して終了ボタンを押す」というレクチャーを受けただけで、ピッキング初体験の初心者でも正確に作業を進めることができた。

ピッキングが終わったビンはロボットによって搬送され、空いたスペースにはすぐに次のビンが運ばれてくる。シングルピッキングで発生する次のビンを待つ時間がマルチピッキングにはなく、流れるように次の作業へと移行することができた。

<ラピュタASRSの導入が決定している日販の新物流センター(2024年秋稼働予定)>
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2023年8月に発売を開始したラピュタASRSには製品発表後から多くの問い合わせがあり、同年9月に開催された「国際物流総合展2023 第3回INNOVATION EXPO」での実機初披露を経て、反響が拡大。12月には、日本出版販売(日販)による採用が決定している。

日販は、持続可能な出版流通の実現に向けて、グループ全体での物流再編プログラムに着手し、物流現場での課題解決に向けた取り組みを推進中。その一環としてロボティクスの活用などにより高度化された物流センターを埼玉県新座市で2024年秋に開設する予定で、ラピュタASRSは同センターで採用する計画だ。

今回のデモンストレーションの現場には、日販の担当者も来場。先進的なマテハン機器を採用するにあたって数社のGTPソリューションを比較検討した結果、生産性やレイアウトの柔軟性、設備の独自性、サポート体制の手厚さなどを評価し、ラピュタASRSの導入を決めたと語った。

日販の新拠点では、当初1000m2程度の規模でラピュタASRSの運用を開始する計画。稼働状況を見て段階的に設備を拡張していく方針で、拡張用のスペースも確保してあるという。

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