フェデックス エクスプレスは2月16日、カワール・プリット アジア太平洋、中東、アフリカ(AMEA)地域社長の名義でニュースレターを配信。スマートなサプライチェーンの実現に向けて2024年の物流業界でのトレンドを展望し、5つのトレンドについて自社の取り組みを紹介した。
1つ目のトレンドとして、アジア太平洋地域でのサプライチェーン成長のけん引役となるアジア~ヨーロッパ間の貿易について、アジア太平洋の企業がパンデミック後にサプライチェーンを多様化するため東南アジアを活用していることから、東南アジアを2024年に注視すべき地域の1つに挙げている。
そのうえで、フェデックスは東南アジアで、ベトナムのホーチミンから中国・広州にあるアジア太平洋地域のハブへの新規就航や、フィリピンのクラークとインドネシアのバタム島に新しい施設を追加するなど、ネットワークとサービスの拡大に取り組んでいると、自社の取り組みを紹介した。
トレンドの2つ目は、データとデジタル活用による配送方法の強化。フェデックスは、45年前に創設者のフレッド・スミス氏が「輸送する貨物の情報は貨物そのものと同じくらい重要である」という発言をあげ、データを重要視していることを強調。
一例として、高度なテクノロジーを使用してサプライチェーンの可視性を革新および改善し、予測可能性を高めるために、FedEx Dataworksを設立。開発したソリューションがほぼリアルタイムで問題と遅延の解決に役立っており、配送ルートを最適化しCO2排出を最小限にとどめることにも寄与していると説明した。
3つ目のトレンドは、イノベーションの加速化に向けたスタートアップとのコラボレーション。
フェデックスは2023年に、新興のIT関連スタートアップへの初期投資を行うため、フェデックス イノベーション ラボを設立。エンタープライズAIソリューションを提供する企業を最初の投資先として選び、現在、このスタートアップと協力して効率向上に役立つ新たなソリューションを開発していることを明らかにした。
4つ目のトレンドは、持続可能な物流の標準化。これに対して、フェデックスは、配送車両の電動化や施設での再生エネルギー活用、サステナブルな梱包などの取り組みを行っており、2040年までに輸送業務のカーボンニュートラル化を目指しているほか、顧客がサプライチェーン内のCO2排出量を把握し、レポーティングや将来の計画に役立てられるよう、FedEx Sustainability Insightsを提供している。
5つ目のトレンドとなるECと物流のさらなる統合については、EC事業者に対して受注オーダーやラストマイル配送、返品の効率を高めるソリューションを提供しているほか、不在受け取りの方法として小売店や非対面式受け渡しロッカーを活用しており、アジア太平洋全域に26万か所のセルフピックアップ拠点を設けていると説明している。
これらのトレンドと、自社での施策を紹介したうえで、カワール・プリット社長は「フェデックスは、全ての人にとってよりスマートなサプライチェーン構築に向けて、今後は技術に加えて、連携性が高く、連続型であり、背景情報をも含んださらに大量のデータの利用により事業展開の仕組みを転換させる。デジタルソリューションの開発ペースは2024年にさらに加速化することになる」と、展望を語っている。