Z世代の活かし方・育て方(7)
挨拶は『心のコミュニケーション』
挨拶は人と人をつなげる「心のコミュニケーション」であり、「心のごはん」です。私は、挨拶には人を元気にする力があると考え、日々率先してきました。
何気ないことのようですが、「おはよう」や「ありがとう」というたった一言の挨拶でお互いの心が明るくなったり、温かくなることがあります。仕事でギクシャクした関係もお互いに無言のままだとそのまま引きずりますが、話しかけることで短期間に氷解し、仲直りできます。
この連載の第4回で、メンバーのやる気を引き出し、明るい活発な職場化を図る率先垂範活動として、「職場の活性化5点盛りセット活動」を紹介しましたが、同取り組みでも挨拶が最も重要だと考え、5項目中の1番目に挙げています。
挨拶は相手への気持ちを言葉にした「心のかたち」です。挨拶一つで、相手と自分との関係を好転することもできますし、また挨拶を受けることで相手の気持ちを感じ取ることもできます。相手に声をかけ続けることで距離感も近くなり、プラスのイメージを持ってもらえます。挨拶が「心のコミュニケーション」と云われる所以です。
多くの方が働く物流の現場では、挨拶がチームワーク創りで非常に重要な役割を果たします。この連載を読んでくださっている皆さんには管理監督職が多いと思いますが、若手やパートさん、部下の方からの挨拶に対して、返事として返すだけの「受身の後出し挨拶」ではいけません。これでは管理監督職失格ですよ。自ら進んで先手必勝の挨拶を心掛けましょう。
必ず自分から声掛けして、はっきりした声で「○○さん、おはよう!今日は良い天気だね」と相手の名前も呼称し存在を認める(連載第2回、添付資料①の存在承認)、「昨日はお疲れ様でした、今日も頼むね!」と相手を労い気遣う、「ちゃんと出社してくれてありがとう、今日も忙しいけど頼みますね」と感謝の気持ちを込めるなど、しっかりと挨拶する努力が大変重要です。
上長の皆さんから、明るく元気で 積極的な挨拶を続けることで、職場全体に活気がみなぎります。明るく朗らかな挨拶は明るい職場を創り、何でも言える職場風土創りの基礎にもなります。全メンバーのモチベーションを高め、職場の活力と物流サービスを向上させたいものです。
このように、挨拶はコミュニケーションツールとして非常に大切な役割を果たしてくれます。私は現役時代、毎日3回、必ず職場巡回して、メンバー全員に「お疲れ様、順調かな?何か困ったことはない?改善したことがあったら教えてね!」と、声掛けする努力を続けてきました。そして、5S活動(整理整頓)や改善事例、良い実践行動などを見聞きすると、しっかり褒めることも励行してきました。読者の皆さんも、自ら元気よく挨拶して、職場の一体感醸成・チームワーク創りに努めてください。そうすれば必ず、従業員の定着も進み、品質や生産性の向上も加速していくことでしょう。
最後に、挨拶の仕方について大切なポイントをご紹介します。一日の始まり(仕事開始への号砲)となる朝の挨拶は、スタッフが発する「心と体のSOSシグナル」を早期に発見するきっかけになります。
SOSのシグナルを感じ取るには、従業員全員の顔と名前を覚えて、「表情は曇っていないか」、「健康面は良好か」、「元気はあるか」、「仕事や家庭で困りごとはないか」といったことに注意を向け観察する必要があります。この注意力や観察眼を養うためにも、相手の顔や目を見て、にこやかに元気で明るいトーンで挨拶することが大切なのです。
「メラビアンの法則」をご存知でしょうか。相手との会話ではどうしても感情が入るため、その内容は聴覚からの情報38%、視覚からの情報55%、話の内容7%の比率で、受け手に影響が及ぶという心理学の法則です。このことからも、より効果的なコミュニケーションを行うために、「(1)先手必勝の挨拶」、「(2)笑顔や明るい表情」、「(3)声のトーン、ボリューム」、「(4)話す姿勢、態度」に留意し、声に感情を乗せた挨拶に努めましょう。
特に、若手は入社して日が浅く、職場での疎外感を感じやすい傾向にあります。また、中高年のパートさん達の中には、心身の健康や家族の心配事などを抱えている方もいらっしゃるかと思います。こうした方が職場に定着し、元気に働いてもらうためにも、挨拶が大切なのです。読者の皆さんが挨拶の達人になり、全メンバーと仲良く理解しあえる職場環境を築けることを願っています。
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