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物流最前線/シーアールイー 亀山忠秀社長(トップインタビュー)

2019年01月25日/物流最前線

物流高度化時代へ備える

―― 物流施設開発ディベロッパーが増えましたが、現在の物流環境について。

亀山 競争が厳しくなるのはやはり大変ですが、それだけ魅力的な市場に成長した証でしょう。マーケットの厚さが増し、物流施設が不動産の中でメインストリームの仲間入りを果たしつつあると感じています。

―― 全国的にも物流施設の需給状況は順調のようです。

亀山 私どもでも「倉庫・物流不動産マーケットレポート」(β版)を発行しています。調査対象物件が違うので、他社の物流施設資料と数値に違いはありますが、空室率はおおむね順調のようです。

―― 大型物流施設の供給により空室率が上昇していた時期もありましたが。

亀山 そうですね。過剰供給が一時期あり2020年の東京オリンピックまで今の好調基調が続かないと言われていましたが、需要が追い付いてきました。このままいきそうですね。今後、ラグビーのワールドカップ、東京オリンピック、大阪万博など大きなイベントも控えていますし。

―― 現在、人手不足が深刻です。

亀山 人口予想ほど経済予測指標として当たる指標はなく、今後ますます人手不足は深刻になると思います。その意味で、物流自体も高度化し、物流施設もそれに合わせ、高度化していくものと考えられます。物量が増える一方、人は減るので、高度化して組み立てていかないと、もはや人海戦術は成り立たない次元に来ていると思います。

―― 高度化とは、IoT、AI、ロボット化のこと。

亀山 そういうことです。何がデファクトスタンダードになるかわかりませんが、さまざまな変化に対応していくことが必要です。その一環として、私どもでは2018年5月にブレインウェーブを子会社化しました。クラウド型の流通プラットフォーム「はぴロジ」を開発・運営している会社で、2018年9月にはそのブレインウェーブがCREの資本業務提携先のCBcloudと業務提携を発表しました。CBcloudは求貨求車システムで荷主と配送ドライバーを直接つなげるマッチングプラットフォーム「Pick Go」を開発・運営している会社で、その「はぴロジ」と「Pick Go」の連携を実現しました。

―― この連携で何が生まれるのですか。

亀山 ブレインウェーブのシステムはEC事業者のシステムとつなぐコンバーターの役割も持っています。EC事業者のプラットフォームを各倉庫のWMSにつなぐことができるのです。ここで目指しているのは、流通のプラットフォームの提供です。シーアールイーでは物流のプラットフォームを提供しようとしています。物流プラットフォームの上に商流をつなげると、流通になるのです。最終的にはここを目指しています。その実現の一環として、CBcloudではドライバー不足に対しても手を打っています。厚生労働省の調査によると、2030年には約8.6万人のトラックドライバー不足が試算されています。

―― ドライバーを増やす対策。

亀山 ロボットやAI、IoTがいくら進んでも、今のところラストワンマイルには人間のドライバーが必要です。今後ドライバーの絶対数が足らなくなるのは目に見えています。ドライバーは車を運転してこそドライバーですので、CBcloudでは、軽トラックをドライバーに提供・貸し出して、トラックを持っていないドライバーでもトラックドライバーになれる仕組みを作っています。2次、3次の下請けドライバーより、直接荷主と交渉ができるシステムを提供することで、給与面でも改善を図れます。ドライバー不足に対応するためには、ドライバーの環境整備を徹底的に行わないと、ドライバーのいない運送会社になってしまいますからね。もう、時間はあまり残されていません。

<CREが提供する物流インフラプラットフォーム(イメージ)>
20190125cre7 - 物流最前線/シーアールイー 亀山忠秀社長(トップインタビュー)

物流インフラプラットフォーム提供へ

―― 物流インフラプラットフォームとは。

亀山 これまでシーアールイーは物流施設の床しか提供できていませんでした。そこに、設備、データ、マネジメント、作業(人)、ロボットといったリソースを提供するとことで、物流会社がノンアセット/ライトアセットで物流事業を運営できるような未来を思い描いています。ただ、全てをインハウスで提供するのではなく、シーアールイーのアライアンスの中で実現できれば良いと考えています。

―― 物流総合サービスの提供ということですか。

亀山 イメージ的には物流会社が物流サービスを提供する時に必要で、最適なハードなりソフトをタイムリーに提供していきたいということです。私どもは投資ファンドではなく、実業の会社なので、アライアンスや資本業務提携等でベンチャーをグループ化し、共に成長していくことで、共同物流インフラプラットフォームの実現を目指していきます。ブレインウェーブやCBcloudとの取り組みはその一環です。各社の事業を有機的につなぎ、新たなビジネスも生み出していきたいです。

―― 今後の展開が楽しみですが、今後の物流施設開発の予定は。

亀山 2019年4月にロジスクエア上尾、5月にロジスクエア川越Ⅱの竣工を控えています。着工では、2019年2月に狭山日高IC開発計画(仮)、5月に三芳開発計画(仮)、8月にロジスクエア神戸西を予定しています。

―― 2019年の新しい年を迎えたことで、社長の抱負とは。

亀山 やはり先ほど申しました物流インフラプラットフォームの実現ですね、シーアールイーの新事業ビジョンでも「世界の人とモノをつなぐ 物流インフラプラットフォームとして No1企業グループ」になることを掲げています。また、ロボットやAI、IoTの進展で、物流関係も大きな変革期を迎えています。トラックの隊列走行は早晩実現するでしょうし、EVトラックや自動運転、倉庫の自動化なども進展すると思います。物流インフラプラットフォームの実現でこの大きな物流変革期を乗り切っていきたいと思っています。

―― ハードなスケジュールの社長業だと思いますが、ストレス解消法等は。

亀山 基本的にストレスは感じていないのですが、最近ボクササイズのジムに通っていて、暗闇の中でサンドバッグを打つのですが、快感ですね。自分では感じてないまでも、ストレスはやはりあるのでしょうね。今年の個人的な目標は本を30冊読むこと、ジムに100回通うこと、そして週1回の禁酒です。ある雑誌に経営者としては年に50冊程度は本を読まなければならないとあり、昨年実行したのですが、達成できず、今回は実現可能な数字にしました。

<亀山忠秀社長>
20190125cre8 500x380 - 物流最前線/シーアールイー 亀山忠秀社長(トップインタビュー)

■プロフィール
氏名:亀山忠秀(かめやまただひで)
生年月日:1974年12月26日
最終学歴:大阪大学基礎工学部
略歴:
2002年7月:幸洋コーポレーション(コマーシャル・アールイー)入社
2006年6月:コマーシャル・アールイー取締役
2007年6月:コマーシャル・アールイー常務取締役
2010年8月:シーアールイー入社
2011年7月:常務取締役
2017年8月:代表取締役社長(現任)

■CRE
https://www.cre-jpn.com/

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