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物流最前線/シーアールイー 亀山忠秀社長(トップインタビュー)

2019年01月25日/物流最前線

<ロジスクエア上尾>
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<ロジスクエア川越II>
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顧客ニーズに応えるシーアールイーの戦略

―― 現在のシーアールイーの概要は。

亀山 現在、約1500棟の物流不動産の管理を行っています。このうち、約1200棟がマスターリース物件です。約135万坪が管理面積となります。大型物流施設は既設が13棟、開発中が6棟となります。このうち、間もなくロジスクエア上尾とロジスクエア川越IIが竣工します。

―― 物流施設開発でのシーアールイーの特徴とは。

亀山 ご覧になれば分かるように、巨大な物流施設の開発はあまり行わず、5000坪~15000坪のミドルクラスの物件が多いですね。3万坪以上のメガ物流施設は今のところ手掛けていません。これは、テナントとなる物流事業者のニーズが1万5000坪未満に多くあること、また、1物件あたり、できればシングル、多くて2~3社のテナントで使いたいというニーズが多いことが理由です。

―― 開発の基本はBTSですか。メガ物流施設の開発については。

亀山 実はBTSは少なくて、2~3社のセミマルチテナントが多いですね。大手ディベロッパーが開発している、各階に接車バースがあるような3万坪以上のメガ物流施設にもニーズがあり、否定はしませんが、私どもは日本企業の9割以上を占めるといわれている中小企業の顧客のニーズに合致した物流施設の開発に注力したいと思います。今後2万坪クラスの物件が竣工しますが、テナントニーズや収支バランスを考えながら、スロープやランプウェイの計画を考えていきます。

―― 顧客のニーズに沿った開発ということですか。

亀山 エリア毎に顧客のニーズが違いますから、エリアエリアでベストなものを考えています。効率性、採算性だけを追求するのではなく、あくまで立地・ロケーションやテナントニーズにマッチした最適な施設を開発していきます。開発の作業効率から考えれば、メガ物流施設開発の方が、ミドルクラスの物流施設開発より、効率的な場合も多いと思います。リーシングは大変ですが、ディベロッパーからすれば、メガ物流施設を作る方が、効率的には良いのでしょうが。

―― 顧客のニーズとは。

亀山 私どもは、これまで物流施設の賃貸・管理を長い間行ってきていますので、なるべく長く利用してもらえることが重要です。50年以上の物流施設の経済耐用年数を考えると長く使いたいと思ってもらえるような汎用性の高い施設づくりを進めていかないとビジネスが成り立ちません。

―― 土地の取得に関しては。

亀山 入札に参加しても高額過ぎてほとんど取れませんね。今後も相対取引が多くなるかもしれません。高い金額で取得しても、賃料を高くせざるを得ませんから、賃料は平均して坪単価3000円から4000円台がボリュームゾーンですので、このゾーンの開発件数が今後も多くなると思います。

―― 海外展開も活発です。

亀山 シンガポールにアセアンの統括的拠点を作っていますが、実際に人を配置しているのはタイの現地法人です。日本人とタイ人合わせて10名ほどで活動しています。タイのバンコクはやはりアセアンの中心ですからね。

―― 今後の開発の予定は。

亀山 ベトナムのハイフォンでシンガポールの政府系企業セミコープデベロップメント(セミコープ)と共同で物流施設の開発を進めています。ハイフォン近くにラックフェン国際港が北部地域初の国際大深水港として2018年5月に完成したことから、今後も物流施設ニーズが高まっていくエリアではないかと期待しています。

―― セミコープとは。
亀山 セミコープはベトナム・ビンズン省政府系企業と一緒に工業団地を開発している会社で、すでにVSIPハイフォン倉庫Ⅰ、VSIPハイフォン倉庫Ⅱという延床面積1万5000m2の物流施設を開発しています。今後もベトナムでの開発を拡大していくため、日系テナントとの幅広いネットワークがあり、物流施設開発のノウハウを持っている企業を探していたセミコープと、ベトナムでのパートナーを探していた私どものニーズが合致し、ジョイントベンチャーで施設開発を行っていくことになりました。出資比率はセミコープ7対シーアールイー3の割合です。VSIPハイフォン倉庫Ⅲとして、2019年内に竣工予定です。今後、ハイフォンにこだわらず、物流施設需要が期待されるエリアで開発を進めていきたいと思っています。

―― 今後、ベトナム全域に展開すると。

亀山 今は北部ベトナムですが、やはり南部のホーチミンも魅力的ですね。1棟ずつ確実に開発を進めていくつもりです。私どものベースとなるビジネスは、不動産管理ですので、最終的に管理につながるような開発を行っていきたいと思っています。開発物件が一定程度増えればプロパティマネジメント、さらにアセットマネジメントも手掛け、ストックビジネスの拡大へとつなげていきたいと思っています。この形は、国内では出来上がっています。

<ベトナム展開の位置図>
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<「倉庫・物流不動産マーケットレポート」(β版)>
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