NEXCO中日本は4月7日、4月14日に新東名高速道路(新東名) 御殿場ジャンクション(JCT)から浜松いなさJCTまでの区間が開通10周年を迎えるにあたり、整備効果を取りまとめ、発表した。
そのうち、ここでは「物流の高度化」と「地域経済の活性化」に焦点を当てた取組みの検証を見てみる。
<大都市圏に立地が進む物流施設(トラックターミナル)※の立地>
物流の高度化では、都市間の安定的な移動が可能となったことを背景に、物流事業者による大型物流ターミナルの開設が進み、三大都市圏間の当日配送サービスが実現するなど物流が高度化しており、新東名の開通は暮らしの利便性向上に貢献している。
ダブルネットワーク整備による時間信頼性の向上により、日中時間帯の長距離幹線輸送が可能となり、首都圏・中京圏における大型物流ターミナルの開設、三大都市圏間での多頻度運行による当日配送可能圏の拡大に寄与。
安定した配送運行の実現や所要時間の短縮により、物流トラックドライバーの負担軽減、安全性の向上に寄与している。
物流事業者からは、「多頻度運行では24時間タイムスケジュール通りの運行が絶対条件となり、いかに時間軸を崩すことなく運行を継続させるかがカギになる。東名・新東名がダブルで並走していることは、弊社としては安心につながる」と高い評価を得ている。
また、物流の未来を支える新しい取組に挑戦していることにも注目している。
その一つが、駐車マスの拡充に加え、ダブル連結トラック専用駐車場や路外駐車場の整備、中継物流拠点の整備など、長距離ドライバーの労働環境改善を下支えしている。
また、中継物流拠点として整備されたコネクトエリア浜松では、ドライバーの交代またはトレーラー・トラクタを交換し、長距離運行を複数のドライバーで中継することで、各ドライバーが日帰りで勤務できるようになった。
わが国の物流に関する生産性向上やドライバーの労働環境のさらなる改善に向け、物流の未来を支える新しい取組みに挑戦している。
一方地域経済活性化では、新東名の整備に伴い、津波の被害を受けにくい内陸部の開発が進み、企業立地が進展している。静岡県の製造品出荷額は、特に東名・新東名沿線地域での増加率が高く、製造業従業者数も増加するなど、地域経済の活性化に貢献している。
沿線自治体の声では、「新東名のIC周辺の富士山フロント工業団地等を中心に昨年7~8月にかけて募集を行った全6区間において進出企業が決定した。また、企業の進出が進んできたことで雇用の創出にもつながっている」と期待に応えた展開となっていると評価している。