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伊藤忠商事、シノプス/ウオロクで食品ロス、物流効率化実証実験

2023年08月17日/IT・機器

伊藤忠商事とシノプスは8月17日、食品デマンド・チェーン・マネジメントの実証実験を、新潟県のウオロクで開始したと発表した。

<ウオロクの物流センター>
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これは新潟県内で食品スーパーマーケットを43店舗運営しているウオロクで、物流センターの在庫圧縮と特売品の物流センターへの納品リードタイム(納品LT)を長期化する実証実験を開始したもの。

ウオロクでは、新潟市内に保有している自社の物流センターの在庫圧縮による稼働効率の向上が求められている。店舗運営に必要なsinopsシリーズをウオロク全店で幅広く導入しており、今回はsinopsで算出した店舗の需要予測データを再活用し、物流センターの稼働効率の向上を図る。

併せて、食品バリューチェーンの最適化を目指し、特売品における納品LTを長期化させる実証実験も行っている。sinopsで特売品の需要予測を14日先まで行い、従来は数日前に確定していた卸売業への特売品の発注を、14日前に確定する。納品LTを長期化することで、卸売業の特売期間中の追加発注の対応に向けた需要予測や在庫調整業務の負荷軽減や、物流センターの過剰在庫や欠品リスクの抑制が期待できる。

データによる机上検証では、sinopsが算出した予測値とPOSデータの販売実績を比較したところ、予測誤差は問題なく実運用できるレベルにあることを確認している。さらにウオロクの発注担当者が起案した発注数とsinopsが算出した発注数の比較では、sinopsで発注した場合の方が特売期間中の卸売業への追加発注を抑制できるというシミュレーション結果も出ている。

今後の展開では、この実証実験のほか、他の小売業でも同様の実証実験を行い、在庫圧縮率や納品LT長期化における物流改善の効果を現場検証する。トラックドライバーの時間外労働が960時間に規制されることでドライバー不足が懸念される「2024年問題」も来年に迫っているほか、物流センターのキャパシティーひっ迫も喫緊の課題となっている。こうした課題を解決し、最適なバリューチェーンを実現するべく、デマンド・チェーン・マネジメントプラットフォームの構築に向けた動きを加速していくとしている。

なお、シノプスと伊藤忠商事は、食品ロス削減や物流の効率化といった食品バリューチェーンの最適化を実現するべく、2022年1月に「デマンド・チェーン・マネジメント プラットフォーム」構築に向けた業務提携契約書を締結した。シノプスは1980年代から需要予測・自動発注の分野に着目し、販売実績や在庫情報、天気予報といったさまざまなデータからAIが最適な発注数を算出する需要予測型自動発注サービス「sinopsシリーズ」の開発・提供をしている。sinopsシリーズは、食品スーパーマーケットを中心に小売業106社で導入している。こうしたシノプスの小売業のノウハウと、伊藤忠商事の豊富なネットワークを生かし、デマンド側である小売業の需要予測データを卸売業や製造業につなげることでサプライチェーンの最適化を目指すデマンド・チェーン・マネジメントプラットフォームの構築に向け、取り組んでいる。

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