ヤマト運輸は3月27日、ドイツポストDHLグループ傘下のEVベンチャー企業であるストリートスクーター(STS)と、宅配に特化した小型商用EVトラックを共同開発したと発表した。
3月27日に購買契約を締結した。2019年度中に500台を導入し、秋から一都三県(東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県)で順次稼働開始を予定している。
今回導入するのは、STSと2017年12月から検討を重ねて共同開発した、日本初の宅配に特化した小型商用EVトラックで、1982年に開発したウォークスルー車以来のオリジナル車両となる。
CO2排出量や走行時の騒音など環境負荷の低減、自動運転やAIなど先進技術との親和性が高いというEVの特徴に加え、安心・安全で働きやすい労働環境の実現に向けた仕組みを採用。
具体的には、運転席シートドア側の座面をフラット化し、運転席へのスムーズな乗り降りを実現したほか、荷台に乗り込まずに荷扱いを可能にしたことで、腰への負担を軽減。
また、普通免許で運転可能とし、車幅の狭さや全高の低さ、回転半径の小ささを実現したことで、年齢や体格、性別、経験、イメージなどによるトラック運転への不安の低減を図った。
EVトラックの開発は、ヤマト運輸がデリバリー事業で取り組んでいる構造改革の一環。小型で扱いやすいEVトラックを導入し、幅広く働く機会を提供することで、働き方改革の推進と集配キャパシティの向上を図る。
また、CO2排出量や走行時の騒音など環境負荷の低減に取り組むとともに、先端技術との親和性の高さを生かして自動運転やAI搭載の検討も行い、環境課題の解決と次世代の物流構築をリードし、持続可能な社会の実現を目指す。
<STSのアヒム・カムカCEO(左)、ヤマト運輸の長尾裕社長(右)>
STSのアヒム・カムカCEOは、「ヤマト運輸での導入には本当に感激している。その業界の特色に沿ってカスタマイズした車両を製造するという私たちのビジョンが今、国際的規模で開花しているという新たな確証を得た。今回のヤマトとの戦略的協力は、日本のEV市場への重要な足がかりとなった」とコメント。
ヤマト運輸の長尾裕社長は、「宅急便のラストワンマイルネットワークを持続可能なものに再構築する過程の中で、働き手の立場に立った集配車両の開発は大きな課題だった。STSとの出会いは当社にとってエキサイティングであり、両社合同チームでその課題解決に向けての第一歩を踏み出せることに大きな期待を持っている」と語った。
■車両スペック
全長:4700㎜
全幅:1830㎜
全高:2250㎜
車両重量:2850kg
最大積載量:600kg
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