フィジカルインターネットセンター(JPIC)は11月6日、欧州連携物流イノベーション連合(ALICE)と、ベルギーのブリュッセルにおいて基本合意書(MOU)を締結した。
また、ALICE 10周年記念の「Logistics Innovative Summit 2024」において、森隆行JPIC理事長が基調講演を行った。
ALICEは、2024年11月6~7日、ベルギーのブリュッセル(タングラホテル)において、ALICE設立10周年を記念した「Logistics Innovative Summit 2024」を開催した。
このSummitのキーワードは「Competitiveness」(競争力)で、欧州各国から約150名が参加した。講演者が多用していたフレーズに「Twin Transition」と「Collaboration」があった。Twin TransitionとはDigitalとGreenの二つを同時に革新することを意味している。
フランソワ・レジス・ル・トゥルノーALICE会長の開会のあいさつに続いて、5人の基調講演が行われた。エリザベッタ・グアルミニ、欧州議会議員(Video参加)や、マヤ・バクラン・マルチッチ、欧州委員会副事務局長(モビリティ・運輸総局)等の中で、森隆行JPIC理事長も5人の中の一人として“Japan’s path towards sustainable & Eco-friendly logistics”のテーマで基調講演を行った。日本の物流の現状とフィジカルインターネットへの取り組みを紹介した。会場の参加者からは、欧州の現状と重ね合わせて大きな関心が寄せられた。
Summitの締めくくりとしてアンドレア・コンドッタALICE副会長が総括を行った。要旨次のように語った。「ここ数日間、私はアリスサミットのためにブリュッセルに滞在していた。これは考えをリフレッシュし、新しいアイデアを持ち帰るためのオープンマインドな機会。森隆行教授と、輸送能力の低下に関して日本が直面している課題について議論した。これが、物流チェーンの最適化と自動化の必要性に駆られて、Physical Internetの概念を適用し始めた理由。同じ考慮事項がヨーロッパにも適用できる。予測によると、容量は減少する一方で、量は(一貫してではないが)増加している。すでに不足している23万人の運転手のことを考えてみると、鉄道だけではニーズをカバーできない」。
また、「Eric Ballot氏は、現在のシステムは古いテクノロジーに依存しており、標準化が欠如しており、イノベーションの導入が遅れていることを強調した。こうした課題にもかかわらず、進歩はあり、システムは進化しており、ヨーロッパでもフィジカル インターネットの発展の可能性を示す多くの経験がある。鍵となるのは、関係者間の積極的な協力を通じて、既存のスキルを活用して必要な変更を加えること」と述べている。
なお、ALICEは、ヨーロッパで連携して物流革新を実施する一流の専門家や企業のための非営利団体。2014年、ヨーロッパにおけるロジスティクスおよびサプライチェーン管理の研究、イノベーション、市場展開のための包括的な業界リーダー戦略を開発するために設立された。物流とサプライ チェーン管理におけるトレンドとニーズ、および必要な革新を特定することに重点を置いている。そのビジョンは、航空輸送と物流はゼロ排出であり、フィジカルインターネットによってその目標への手頃な移行を可能にすること。ALICEは、欧州委員会および多くのヨーロッパの取り組みにリンクしている。
■基調講演者
エリザベッタ・グアルミニ、欧州議会議員(Video参加)
マヤ・バクラン・マルチッチ、欧州委員会副事務局長、モビリティ・運輸総局
マリー・クリスティーヌ・ロンバード、GEODIS CEO 兼取締役会長
ミハル・シルハチェク、IKEA グローバル陸上輸送部門長
森隆行教授、流通科学大学名誉教授、JPIC理事長
JPIC/第1回CLO協議会を開催、CLOの定義、役割、現状、課題掘り下げる