LNEWSは、物流・ロジスティクス・SCM分野の最新ニュースを発信しています。





物流最前線/次世代型自動搬送ロボットメーカー、グレイオレンジ

2018年11月14日/物流最前線

ピッキングで新製品を開発。作業効率を25%アップする

―― 新製品を開発しました。

アドバニ 「Pick pal(ピックパル)」というアームロボットを開発しました。これは、「バトラー」が棚を持ってきて、棚の荷物を人がピッキングしますが、そのピッキングの補助をしてくれるロボットです。ご存知のように、ピッキングロボットはまだ完成度が低く、完全にモノを認識して確実につかんで、所定の場所に置くことはできません。そこで、少しでも効率を上げるために、画像認識で確実にモノを認識できるものだけを対象に、確実につかめ、確実に所定の場所に収められるモノだけをピッキングするというロボットです。その他のものは人間がピッキングします。人とロボットの分業ですね。

―― 作業効率はどうなりましたか。

アドバニ 約25%の作業効率向上が図れました。まだ、日本には実物がなく、本社の研究所と米国のアトランタにあるだけですが、日本でも早くデモンストレーションを行いたいと思います。ただ、「バトラー」と連携しているため、バトラー導入現場でしかデモを行えないので、導入現場の企業の方にも協力をお願いしています。

―― マテハン機器やロボットになると、今後アフターサービスや保守・管理が必要になります。

アドバニ 我々は、システムのメンテナンス契約を結んでいます。OPEX(業務費・運営費)も含まれています。しかし、日本では、例えば故障するとパーツ代、人件費代というように分けて考えています。「バトラー」のモデルそのものを提供しているのではなく、「バトラー」システムを提供しているものと理解してもらいたいと思っています。また、メーカーとして日本に拠点を持つこともアフターサービスや保守・管理に向けたグレイオレンジ社の体制構築の一環です。そのために人材も必要になりますので、早急に人材募集と育成を図っていくつもりです。

―― 販売促進策については。

アドバニ その前に、根本的なところから話しますと、我々ができるのは、バランスシートにシステムを載せるのではなく、経費扱いできるOPEXモデルを作っていくことです。これには、メリットがあり、従来システム導入の弱点であった固定費から変動費になることです。変動費になると、忙しいときには台数を増やし、暇なときには、台数を減らすといったビジネスモデルを構築することになり、業務のスケジューリングもしやすくなります。

―― リース等も行っていますね。

アドバニ リースはその入り口でしかありません。需要に応じて自動化を増やしたり減らしたりできるシステムを作っていきたいと思います。そして、どう作っていけるか、これがメーカーとしての我々の役割だと考えています。顧客と一緒に考えてぜひとも実現していきたいと思っています。「バトラー」のシステム自体はこのシステムに非常に合っていると思います。

―― 先進的な大型倉庫も各地で誕生しています。

アドバニ そうですね。大型倉庫が圏央道沿いにできて、都心まで2時間程度で配送できる。日本の人口の2割、シンガポールの6倍もの3000万人の場所に配送可能ですからね。すごいことです。すべてのリテーラー(小売り業)は、オンライン(実店舗)とオフライン(ネット販売)でフルフィルメントを違う倉庫から運んでいますが、どこかで同じ倉庫から運ぶこともあります。これを一つにできれば効率性は増します。確かに、オンラインとオフラインでは、違う面も多く、返品や売れ残った商品等の扱いの問題もあります。しかし、海外では一つにした倉庫は結構ありますし、オンラインとオフラインの間をバトラーが行きかっている現場風景もよく目にします。「バトラー」システムはトータルスル―プットをどう上げていくかを常に思考しています。

―― LNEWS読者にメッセージを

アドバニ 新しいことに挑戦するのがグレイオレンジ社のミッションです。日本の物流業界も50年に一度の大変革期を迎えているといわれています。我々が新しいことに挑戦することで、日本の物流業界の変革に役立ててもらえれば幸いです。そして、日本はすごいなあ、と思えるものを世界に向けて一緒になって作り上げていきたいと思っています。

<ナリン・アドバニ アジアパシフィック&ジャパンCEO>
20181107greyorange7 500x334 - 物流最前線/次世代型自動搬送ロボットメーカー、グレイオレンジ

■プロフィール
1965年10月1日生まれ
シンガポール国立大学ビジネススクール修士課程
UCLA アンダーソン・スクール・オブ・マネジメント修士課程
シンガポールを拠点に、グレイオレンジ社のアジア太平洋地域および日本地域におけるビジネス拡張計画を統括し、戦略的な販売およびマーケティング、新たなチャネル開発および全体管理を担当。これまで、アジア全域で豊富な経験を基にウインドリバー社、ウィプロ社、バルコ社などのグローバルテクノロジーリーダーのアジアビジネスに貢献。また、 起業家と投資家として、Centillium、Solid、eSOL、Kivera、Videogramなどの成功にも貢献。 グレイオレンジ社に入社する前は、シンガポール、日本、インド、韓国のBarcoを率いていました。 彼はTiE Tokyoの創立会員であり、TiE Singaporeのチャーターメンバーでもある。

■グレイオレンジ
https://www.greyorange.com/

<前へ 1 2 3 4

関連記事

トップインタビューに関する最新ニュース

最新ニュース