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『二刀流』の経営で目指す
サントリーロジスティクスの物流戦略

2022年02月24日/物流最前線

<武藤社長>
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人財確保へ人事制度改革スタート

――  人手不足は業界の大きな課題ですが、御社での取り組みは。

武藤  人はまさに財産だと思っています。どうしてもこの業界自体は離職率が高いので、人をしっかりと定着化させることの難しさを感じています。ちょうど、当社もここ数年である程度売上が伸びており、現行の人事制度が会社の成長に追い付いていないと感じていましたので、今年の4月から人事制度改革に取り組むことになっています。

――  具体的な取り組み内容は。

武藤  まずは、中間管理職の育成です。今、拠点を拡大している中で一番の悩みが中間管理職が足りないことです。これからは、拠点拡大にあたって中間管理職をどうやって育てていくか、もしくはどう確保していくかというのが非常に重要になってきます。そのために、今の20~30代の若手でやる気のある有望な人材を早く登用できるような、昇進をスピードアップできるような仕組みを、まずは総合職でこの春から導入しようと思っています。サントリーホールディングスの人事制度も参考にしており、昇給スピードと同時にその役職に見合った知識をしっかりと習得させていこうということで、昇格時には最低限の研修や試験を受講しておく必要があります。一般的な社会人としてのマーケティング、財務、アライランス、会計といった内容に加えて、物流会社としての物流の知識などを問うといった形です。

また、フォークリフト乗務員などの倉庫職についても、早期に倉庫職リーダーになれる仕組みに変更しました。倉庫職の多くはエリア社員ですが、倉庫職リーダーになると給与アップはもちろん、新拠点開設の際はリーダーとして現場をマネジメントしてもらうなどの役割を任せることになります。

――  トラックドライバーの成り手不足や高齢化も課題です。

武藤  トラック乗務員の高齢化は当社でも課題になっています。当社では60歳になると一度定年を迎えるのですが、定年を過ぎると「業績給」という走行した分だけプラスになる給与システムが無くなっていました。60歳を過ぎてもまだまだ元気でドライバーを続けていたいという方は沢山いるのですが、どうしても給与が下がると離職される場合が多かったので、今春からは60歳を過ぎても業績給を継続することにしました。

――  2021年の新卒採用はいかがでしたか。

武藤  毎年10人前後を採用しており、今春は8人ですね。新卒採用を開始して今年で13年目になります。あとは、経験者をうまく登用していくことも大事だと思っていますので、キャリア採用も年に数回程度を並行して実施しています。

どうしても離職率の高い業界ですので、新人には当社で長く働いてもらえるよう「コーチャー制度」というものを設けています。新人に対して先輩社員のコーチャーを1人つけて、仕事への取り組みの理解や悩みをしっかりと聞いてもらえるような環境を整えています。新入社員やキャリア採用で新しく入社してきた社員に当社の中身をしっかり理解してもらうことは大変重要です。せっかく入社してもイメージと合わずに数か月で辞職するといったことが過去にもありましたので、コーチャーと二人三脚で仕事に慣れていってもらおうという仕組みです。この制度はコーチャー側にとってもいい勉強になります、人に教えるということは自分自身の成長にも繋がりますからね。人を育てると同時に自らも育つ好循環を生んでいます。

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