大手スーパー4社(サミット・マルエツ・ヤオコー・ライフコーポレーション)が昨年3月に発足した「SM物流研究会」の活動が活性化している。3月21日、日本スーパーマーケット協会で行った記者発表によると、参加企業は15社に拡大。今後、2024年3月末までに物流センターでのトラックの「荷待ち1時間以内」を目指すとしている。
<左から、ライフコーポレーション首都圏物流部 渋谷部長、カスミ 齋藤SCM担当マネージャー>
研究会は、「持続可能な食品物流構築に向けた取り組み」として宣言した1.加工食品定番商品の発注時間の見直し、2.特売品・新商品の発注・リードタイムの確保、3.納品期限の緩和(1/2ルール採用)、4.流通BMSによる業務効率化の4項目に取り組んできた。
また、昨年12月には物流の適正化・生産性向上に向け、SM3団体(日本スーパーマーケット協会・全国スーパーマーケット協会・オール日本スーパーマーケット協会)合同で業界自主行動計画を策定。荷待ち・荷役時間削減の削減に向け、バース予約システムの導入と活用、パレット納品の要請(バラ積み納品の削減)、トップの合意の3項目を加えた7つの項目を推進している。
現在、参加企業は4社に加え、2023年5月にカスミ・西友が、10月にはいなげや・東急ストア・原信・ナルスが参加し10社に。さらに2024年3月13日に平和堂・エコス・たいらや・マスダ・与野フードセンターの5社が加わり、15社に拡大している。
首都圏外からの参加が増えたことを受け、「全体会(SM物流研究会)」とエリア部会(首都圏SM物流研究会)」の2部制に。全体会では「縦の取り組み」として、サプライチェーン全体の物流効率化(製配販の連携)を行い、エリア部会では「横の取り組み」として、各エリアSMの物流効率化(小売り業の連携)を行っている。
各社の取組みも順調に進んでいる。カスミ 齋藤雅之SCM担当マネージャーは「2024年2月時点で10社が7項目すべてにおいて対応済み、または対応済中で、遅くとも今年7月には完了する」と見通しを語った。「今まではSMの窓口がなかったが、仲間が増えてきた。我々の趣旨、7項目に賛同してくれる企業があれば、今後も増やしていきたい」と、ライフコーポレーション首都圏物流部 渋谷剛部長は、今後の活動へ意欲をみせる。
研究会では、各社の物流センターの「荷待ち・荷役作業時間」についても昨年10月から計測しており、「荷待ち1時間超過のトラック台数」は2024年2月時点で全体の8.1%、「荷待ち・荷役作業時間2時間超過のトラック台数」についても、8.3%と結果報告した。ともに減少傾向にあるが、今後の対策としてバース予約システムの導入による入荷トラックの状況把握と、「バラ積み」からパレット積みへの移行を進めることの2点を挙げ、荷待ち時間に関しては「2024年3月末までには1時間以内を目指す」とし、積極的に取組んでいく。
今後の活動としては、首都圏エリアにおける共同配送の研究や、2024年問題を目前に特に危機感を感じている分野として生鮮物流を挙げた。研究会では、今年1月から生鮮物流、バラ積み納品削減、チルド加工食品物流について東京青果、日清食品、サンヨー食品、明治等と意見交換会を実施しているが、生鮮物流については「今のところどうすれば物流がとぎれないか、課題を把握しきれていない」のが現状だという。これについては今後、継続的に意見交換を行い、適時FSP(日食協・メーカー・卸)と協議・連携し、小売業だけでなくサプライチェーン全体の効率化を目指すとの方向性を示した。
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