収益は請負と物流が5対5の割合
―― さて、2019年3月期の売上高は約3000億円となっています。この数字については。
鴻池 2019年3月期の売上高は2941億円、営業利益は109億円となっており、(社長に就任した)15年前の2004年3月期の1668億円から約1.8倍に伸長しています。この伸長の主な要因は、メディカル部門と空港部門の伸びです。全体の売り上げに占めるこの2部門の売り上げは2004年3月期には3%程度でしたが、2019年3月期には14%と大きく拡大したということです。
―― 請負業務部門の伸長ということですか。
鴻池 そうです。ただ、2004年当時は主に製造業のお客様向けに、請負サービスと物流サービスを組み合わせた複合サービスを提供する点に強みがありましたが、メディカル部門と空港部門は、非製造業でありサービス業のお客様向けに、物流や安全・品質管理のノウハウを活用した請負サービスを提供しています。これは現在の鴻池運輸の大きな強みとなっています。
―― 利益面からはいかがですか。
鴻池 伝統的な「物流事業」の市場は激しい競争が続いており、差別化も難しく、利益率は低いままです。ところが、請負業務やエンジニアリングサービスなどの「サービス事業」は、比較的利益率が高く、これまでの鴻池運輸の経験と実績が生き、他社の参入が比較的難しいことから、大きな伸びを示しています。今後、会社の経営戦略としても、この部門に注力し、売上高比率を大きく伸ばしていきたいと考えています。
―― 現在の売上高比率が5対5と聞きましたが。
鴻池 そうですね。現在は5対5の比率ですが、2030年には物流が4に対し、サービスを6にしていくつもりです。ただ、物流事業を減らすわけではなく、両部門とも拡大し、比率的にサービス事業が増えていくということです。物流の上流、下流にサービスの付加価値を付けて、複合的なサービスを展開するということをめざしています。
―― 海外展開ではどのような戦略ですか。
鴻池 これまでは、海外ではフォワーディング事業と定温物流事業の2つを中心に行ってきましたが、今後は国内で行っている製造業・サービス業の請負サービス事業の展開にもチャレンジしていくつもりです。この4月1日にインドに統括本部を発足させました。インドはこれから大きく成長していこうとしている国ですし、人口も間もなく中国を抜き、GDPもこれから日本や米国を抜いてくるでしょう。ビジネスチャンスは大きいと見ています。
―― 現在、アセアン諸国、中国、米国に鴻池運輸の拠点がありますが、今後はインドに注力すると。
鴻池 もちろん既存の拠点にも注力しますが、インドは魅力的です。物流においても発展の余地はかなりあり、当社のノウハウやサービスで大いに貢献できる国だと思います。ただ、縦割りの官僚国家であり、州により独自性も高く、州をまたいで物流の効率性を改善するのはなかなか時間がかかるものと思いますが、それだけ成長の余地が大きいものと期待しています。
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