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物流最前線 鴻池運輸の物流戦略

2019年08月20日/物流最前線

企業理念再構築で方向性を共有化

―― 鴻池運輸さんは2013年に上場しました。

鴻池 そうですね。2013年の3月に上場し、約6年半を経ました。そして、社会性と透明性がより高次元で我々に求められることになる一方、社内では経営ビジョンや目指す方向性が共有されていなかったことが課題となっていました。そこで鴻池運輸の理念・ポリシーを改めて共通のメッセージとしてまとめ、社内・社外に向けて伝え、理解していただくことが必要だと考えました。

―― それが「期待を超えなければ、仕事ではない」というブランドプロミスにつながったと。

鴻池 そうです。実際には、前中期経営計画(2016年3月期~2018年3月期)に対して、目標が未達に終わったことから、その反省として、問題点を分析したわけです。その時に、経営ビジョン、経営の方向性といったものが我々の中で希薄になっていたことがわかり、今一度我々の進むべき方向性と企業理念を再構築しようと。

―― 再構築はどのように進めたのですか。

鴻池 まず、当社の現場の従業員から私や会長にまで、外部の人にお願いして時間をかけて聞き取り調査を行いました。そして、皆の想いの中に共通するDNAとして浮かび上がってきたのが、「人」と「絆」というキーワードでした。我々の会社の基本は人、そして人を思いやる気持ちが絆という信頼関係を生み出している。会社にはいろいろなステークホルダーが存在しており、社員、家族、お客様、地域、株主に対して、思い、思いやる気持ちから信頼関係が生まれているのです。これまで私たちが自覚していなかったが、実はとても大切にしてきたことではないか、ということが分かったのです。

―― 自分のことになると意外に重要なことは見逃しがちですね。

鴻池 そうですね。それを改めて「私たちの使命」という企業理念のメッセージにまとめて、それを象徴する社会との約束の言葉として「期待を超えなければ、仕事ではない」という「私たちの約束」を制定しました。人と絆を大切にして事業活動を続けていけば、期待を超える仕事ができるのだということを自覚し、誇りに思ってほしいという想いを共通の言葉して「私たちのブランド」と定義したわけです。

―― 「期待を超えなければ、仕事ではない」とはなかなか耳が痛い言葉ですね。

鴻池 社内的にもそういう意見が出ました。これ以上もっと働けという事か、と(笑)。社内の7~8割からそういうネガティブな反応が返ってきました。しかし、私たちはすでに「人」と「絆」を大切にしており、お客様の期待を超える仕事をこれまでもやってきているのであり、そういう意識を自覚してください、ということを表現したものです。

―― 現在は理解が進んでいますか。

鴻池 ブランドの「カタリバ」という小集団活動を全国の支店や関係会社、そして本社でも行い、「私たちのブランド」について本音で議論し、意識を高めるとともに、コミュニケーションの活性化を進め、議論を積み重ねています。これまでに30回以上は行っていますし、今後もさらに広げていきたいと考えています。議論を重ねるごとに理解は深まってきたものと思います。KONOIKEグループの核が出来上がってきつつあるなぁと実感しています。

―― 最後になりますが、読者にメッセージを。

鴻池 当社1社でできることは少ないですが、同業他社やお客様と力を合わせて物流業界の課題に取り組んでいきたいと思っています。自動化にしても、業界で連携して開発を進めるとか、業界全体が成長できる取り組みを図っていきたいと思います。当然、競うべきところは競い、それ以外のインフラのような部分では、共同で利用できるようにすれば、コストと効率化と共に、業界のイメージアップにも役立つものと考えます。共同配送の動きも活発になってきていますからね。

―― 社長業はかなりストレス等がたまるのでは。

鴻池 私はあまりストレスをためるタイプではないですね。音楽が好きで、仕事の後、自宅でギターを弾いて楽しんでいます。気分転換になりますね。スポーツは今のところゴルフ程度ですが、やはり運動不足は気にしています。

<鴻池社長>

20190805konoike8 - 物流最前線 鴻池運輸の物流戦略

■プロフィール
氏名:鴻池 忠彦 (こうのいけ ただひこ)
生年月日:1953年11月7日生
学歴:関西学院大学 商学部卒業
職歴
1976年4月 鴻池組入社
1981年4月 鴻池運輸入社
1983年12月~1987年12月 常務取締役
1987年12月~1989年12月 専務取締役
1989年12月~2003年6月  代表取締役副社長
2003年6月~2018年3月  代表取締役社長
2018年4月~現在     代表取締役兼社長執行役員

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