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日本郵船/船上見張り業務を自動化、支援システムを試験搭載

2021年09月08日/IT・機器

日本郵船とグループ会社のMTIは9月8日、イスラエルのORCA AI(オルカ エーアイ)が開発した船舶の見張り業務をサポートする「船舶自動物標認識システム」の試作品1基を日本郵船グループの運航船に試験搭載し、検証を開始した。

<「船舶自動物標認識システム」のイメージ画面と搭載カメラ>
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<可視カメラを用いた日中の映像>
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<赤外線カメラを用いた夜間の映像>
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同システムでは、昼夜を問わず撮影が可能なカメラユニットを利用。船舶や物標を自動で認識、物標までの距離を計測し、レーダーやAIS等の航海計器から取得した船名や他の船舶と最も近づく際の距離や時間等の情報を重ねて、付属のタブレットやタッチパネル式のモニターディスプレイ上で統合表示することができる。

また、レーダーに捕捉されず、AISも搭載していない小型漁船や小物標についても、独自に認識・距離計測し、衝突の危険性を当直者に知らせる機能も合わせ持つ。

さらに、同システムでは、船上で撮影された映像をORCA AIのサーバー上でAI解析し、機械学習を実施した後、遠隔で船上ソフトウェアを更新することで、利用しながら認識率等の性能が向上する仕組みを採用。撮影した映像のほか航海計器の情報もORCA AIのサーバー上に送られ、映像データと併せて表示させることで、本船の動静監視や状況確認のための陸上オフィスでの二次利用等に活用することができる。

物標を認識技術については、既に映像解析による自動識別の研究が進められており、これまでも映像の取得ができれば自動認識が可能だった。しかし、船舶の場合は動揺や振動、風雨にさらされるといった特殊な環境の中、昼夜問わず撮影可能なカメラや、撮影した画像から物標までの距離計測を一定の精度で行えるシステムがなかったため、船上での見張り業務は航海士による双眼鏡を用いた目視や、レーダー等の航海計器を用いて行われている。

今回の試験搭載では、同システムの検知能力の確認や、見張り業務への寄与度、データ収集と機械学習による物標検知アルゴリズムの改善、認識率の向上について検証する。

なお、日本郵船、MTI、ORCA AIの3社は今回の検証に先行して、同システムを内航船舶に搭載し、日本近海の情報収集、日本特有の形状をした漁船や漁具・ブイの認識率向上を図り、将来的な自律運航技術への活用を目指す研究についても進めている。

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