若手社員が描く2050年のKGL
―― 2023年度は何名の新卒社員が入社されるのですか。
安藤 KGLの新卒社員が17人、グループ会社のケーエルサービス各社も合わせると23人です。本当に優秀な学生さんが来てくれたので非常に楽しみにしています。
―― 物流業界では人材不足が深刻ですが、採用活動で工夫していることは。
安藤 今年は新卒者の採用活動をかなり前倒しして始めました。各社が採用活動を早期化しているので、去年より4か月前倒して開始しました。当社ものんびりとしてはいられませんからね。
―― 御社は若手の育成にも力を注いでいますね。昨年は若手社員に未来のあるべきKGLの姿を提案させるワークショップを開催されたそうですが、手ごたえはいかがでしたか。
安藤 そうですね。ワークショップでは、20~30代を中心に参加者を募り、「2050年の未来を描く」をテーマに当社のあるべき姿について議論してもらいました。2030年位では結構予見できてしまうところがあるので、もう少し先の2050年を見据えて、当社だけではなく、物流業界や日本、世界がどうなっていて、その中で当社としてあるべき姿を自由に設定し、そこからバックキャスティングして今やるべきことは何か、といったことを5人×5チームに分かれて話し合いました。
各チームは、北海道から鹿児島までさまざまな拠点に在籍していて仕事内容も異なる従業員で構成されており、日々の仕事の合間や終業後などに時間を調整してミーティングの時間を設けて話し合いをしてくれたそうです。話し合った結果は12月に発表の場を設け、KGLの役員以外にもキリンホールディングス担当役員やキリンビールやキリンビバレッジのSCM部長などにも参加してもらい、提言という形で発表しました。中には、協力会社の皆さんからもオブザーバーで発表会に参加したいという声もあって、是非聞いてくださいということで参加して頂きました。
―― 将来を見通せる若手が社内にいるのは心強いですね。
安藤 そうですね。メーカーの物流子会社は荷主がある程度安定していますし、悪い言い方をすると慢心であったり安心してしまうような所があると思うのですが、私はKGLをキリングループにおける物流のプロとして各事業会社に頼って欲しい、そういう会社でありたいと考えています。そうなるためには、やはり通常業務以外にも将来を予測したり、日本だけではなく世界の物流にも目を向ける必要があると思いますので、こうした人財が社内で育っているというのは非常に心強いですね。
―― 実際にはどのような提言があったのですか。
安藤 DXや自動化に関する内容ですとか、新規領域や海外での事業展開について、面白いところでは宇宙に商品を運ぶにはどうしたらよいか、などといった話がありましたね。
―― 若手ならではのユニークな発想ですね。
安藤 そうですね。我々はキリングループの物流のプロですから、物流でグループに貢献していきたい。今回のワークショップでは、若い人たちからもグローバルな視点を強く感じることができたのがとても嬉しかったです。
―― 社内で意識がしっかりと醸成されているのですね。
安藤 KGLに入社してくる人たちはキリンの商品に対する愛着や信頼を持ってくれていますので、自分たちが好きな商品を、アルコール飲料に限らず運んで貢献してみたいと思ってくれるのはとても嬉しいですね。未来は明るいですよ。彼らのためにも、我々の世代では今すぐ成果が出なくても10年後や現役を引退した後に開花するような、そのくらい先を見据えたことを会社としてやっていくべくだと考えています。
―― 提言の内容については、今後どのように活用していくのですか。
安藤 当社の方針を踏まえて、活用できるものがあれば2024年からの次期中期経営計画に盛り込んでみたいと考えています。また今後、役員投票で順位を決めた1位のチームには中国の物流や工場の現場を視察する機会を与える予定です。私が中国にいたということもありますが、中国の物流現場はやはり自動化が進んでいますので、そうした現場を自ら体験してもらったり、海外に出ることで逆に日本の良い所を発見してもらったりする機会にして欲しいですね。
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