LNEWSは、物流・ロジスティクス・SCM分野の最新ニュースを発信しています。





NECがロジスティクスに注力
止まらない物流で格差のない社会へ

2023年06月09日/物流最前線

20230605 nec icatch - 物流最前線/NECが目指す2030年の物流の姿

2024年問題による物流崩壊の危機が叫ばれる中、NECが物流の課題解決や効率化を支援するソリューションの提供に力を入れている。同社は強みを持つセンシングやネットワーク、AI等の技術を駆使し、共同輸配送や倉庫作業のロボット化を支援するソリューションを開発。これらを「ロジスティクスプラットフォーム」として体系化し提供することで、止まらない物流によって物流格差のない社会「Next New Normal」の実現を目指す。「ロジスティクスの課題は個社や一部門に留まっていては解決できない。さまざまな企業と共創し、社会課題の解決につながる仕組みをつくっていきたい」と語るスマートILM統括部 ロジスティクス事業企画グループの大西 弘恭ディレクターに、同社の取り組みについて話を伺った。
取材日:4月28日 於:NEC本社

「止まらない物流」で物流格差のない社会へ

――  NECではいつ頃から物流領域のソリューションを提供しているのですか。

大西  物流領域での事業の歴史は長く、遡ると1960年代に郵便局向けの郵便区分機を納入していた辺りが始まりとなります。当時はOCRの文字認識技術を活用して宛名を読み取って仕分けるという、現在で主流のAIを用いた画像認識の先駆けを物流業界に適用したというところがスタートです。そこから国内初や世界初といったさまざまなソリューションを世に送り出し、技術的知見を重ねてきたうえで、WMS(倉庫管理システム)やTMS(輸配送管理システム)といったシステムインテグレーションから、DXソリューションへ発展してきました。

――  大西さんが所属するスマートILM統括部では、どのような事業活動を行っているのですか。

大西  スマートILM統括部では、現在「Intelligent Logistics & Mobility」と銘打ち、物流と交通の領域に対する新規事業の創造を推進しています。さまざまなステークホルダーと共創しながら、NECの強みであるセキュリティー、AI、IoTといった先進技術を活用して、実世界とサイバー空間が連動するロジスティクスプラットフォームの提供、また安全・安心・快適な人とモノの移動を支援するモビリティ社会の形成を目指しています。

<ロジスティクスプラットフォームのコンセプト>
20230605 nec1 - 物流最前線/NECが目指す2030年の物流の姿

――  昨今の物流業界についてはどのような見解をお持ちですか。

大西  近年の物流現場における労働力不足については、運びたい時にモノが運べない、欲しい時にモノが届かない、といった状況を生み出していると日頃から実感しています。今取り沙汰されている2024年問題がこうした状況を一層加速させていくことになるだろうと、非常に危惧しているところです。今や物流は社会や生活を支えるインフラとなっており、今後はますます安定した稼働が求められていくと思っています。

――  物流にはどのような課題があるとお考えですか。

大西  現在のサプライチェーンでは各企業による個別最適化は進んでいるものの、企業間のビジネスデータが分断されており、企業の壁を越えて物流リソースを有効に活用できていない、全体最適化には至っていない状況だと認識しています。従来であれば、各企業が自助努力でなんとか最終消費者へモノを届けることができましたが、今後は地域によってはモノを届けられなくなるようなエリアが出てくる可能性があると思っています。住む場所によって物流サービスの格差が広がっていくのではないでしょうか。

――  そうした課題をNECはどのような手法で解決へと導こうとしているのですか。

大西  NECではこのような現象を未然に防いでいくため、サプライチェーンを1つに繋いで地域間の物流格差をなくし、いかなる状況であっても稼働できる「止まらない物流」の実現を目指しており、止まらない物流によって物流格差のない誰もが公平にモノ・サービスを享受できる社会「Next New Normal」の創造をビジョンに据えています。

――  Next New Normalの実現に必要なことは。

大西  大きく2つの取り組みが必要であると考えています。1つは「空間を越えた物流現場の安心安全」で、具体的には働き方の多様化や労働力不足、業務の属人化といった社会課題を解決するべく、誰もがリモートで遠隔から働く場所を選ばずに作業ができる物流現場をつくるということです。

もう1つは「企業の枠を越えた物流リソースの有効活用」です。こちらでは、ドライバー不足や労働時間の規制、脱炭素の要請といった社会課題を解決するべく、企業の枠を越えたビジネスデータの連携と共有によって物流リソースを有効活用していくということを考えています。

<Next New Normal>
20230605 nec2 - 物流最前線/NECが目指す2030年の物流の姿

Next New Normalについては、おおよそ2030年をめどに実現することを目指しており、現在、実現に向けて新たな仕組みづくりを進めています。物流業界では、働き方や物流現場、生産・販売・物流が一体となったロジスティクス、そして企業間のサプライチェーン、これらに対する革新がまさに起こりつつあり、推進、進展していっていると認識しています。NECではこれらの業界の動向を常に先読みしながら、センシング・認証技術とネットワーク技術、NEC自身のサプライチェーン革新と可視化、そして熟練者の暗黙知を形式知化するAI技術、大きくはこの3点の強みを生かしながら、在庫、拠点、作業者、輸送手段の革新を支えるソリューションを「ロジスティクスプラットフォーム」という形で体系化を図り、提供しています。

<ロジスティクスプラットフォーム2030>

20230605 nec3 - 物流最前線/NECが目指す2030年の物流の姿

2024年問題解決へ「共同輸配送のプラットフォーム 」

――  ロジスティクスプラットフォームでは、どのようなソリューションを提供しているのですか。

大西  いくつかのソリューションを展開していますが、その中でも現在注目が集まっている2024年問題の解決に寄与するものとしては、共同輸配送のプラットフォームについて展開を考えています。

共同輸配送自体は全く新しい話ではなく、昔から各企業さんが取り組んでいることかと思います。昨今のドライバー不足等もあって再度注目が集まってはいますが、さまざまな企業さんとお話しさせていただく中で、「特定の場所や企業とはできるのだけれど、なかなかそこから取り組みが広がっていかない」といった声を課題として伺うことが多く、例えばメーカーさんなら、工場や条件、立地などが変わると輸配送の仕組みも組み直す必要があるため、なかなか共同輸配送を継続することが難しいのが実態です。

そうした共同輸配送の実現を妨げる課題は3つあると考えられます。1つ目は、条件に合致する企業の探索が難しいことです。現状ですと企業同士のつながりであったり、アナログ的な人間関係に頼っている部分があり、なかなかそこを越えてパートナーを探すことが難しいと認識しています。2つ目の課題は、先ほど挙げたメーカーさんの例のように、条件が変更された後に輸送のプランを組み直すことが困難で、途中で頓挫してしまったり、または途絶えてしまうという点です。そして3つ目は、複数の企業の荷物を運ぶためオペレーションが煩雑化し、現場に大きな負担がかかることで、結果として現場の理解を得られずに共同輸配送が実現できないといったことです。NECが提供する共同輸配送のプラットフォームでは、こうした課題を解決するためのソリューションを提供していく方針です。

――  具体的にはどのようなサービス内容になりますか。

大西  1つ目の課題である共同輸配送のグループ作成に対しては、各社の物流データから共同輸配送に適した企業の候補を提示し、そこから簡単に共同配送のグループをつくれる仕組みを想定しています。

2つ目の課題であるプランニングに対しては、共同輸配送の座組に属する各社の物流条件を調整し、共同輸配送のプランをつくる過程を支援する機能を想定しています。ここについては、各社が既存の物流がある中で共同輸配送を行うことになりますので、既存の物流条件のどこを調整すると共同輸配送を実現できるかをAIを使って支援する仕組みとなります。AIが作成したプランに対しては、各社が改善したい箇所をリクエストすることでAIが代替プランを提示し、これを繰り返すことで徐々に条件が整合されていくという流れを想定しています。

3つ目の課題であるオペレーションに対しては、各社の荷量や所有する車両のスペースなどをバーチャル上で共有することで、例えば自社の便では荷物を運びきれない場合に、他社の車両の空きスペースを使わせてもらう、というような形の調整ができると考えています。

これらの機能によって課題を解決し、よりサステナブルなサプライチェーンを目指す。また、CO2排出量の削減や輸配送網の維持改善といったことをサポートするプラットフォームの構築を目指して、現在は賛同していただける企業さんと実現に向けた取り組みを進めています。

<共同輸配送のプラットフォーム>
20230605 nec4 - 物流最前線/NECが目指す2030年の物流の姿

――  御社では倉庫作業の自動化に関するソリューションも提供していますね。先日も搬送やピッキングのロボットに関する新技術を発表していましたが、これらのソリューションはどのようなコンセプトを基に企画されているのですか。

大西  NECが考える倉庫自動化のコンセプトとしては、遠隔リモートから働く場所を問わずに作業ができる物流現場を目指しています。現場の機械やロボットを自律制御するとともに、遠隔から人がつながり協調することで、安全・安心で持続可能な物流現場を実現することが目標です。これにより、現場の脱属人化や、安全で快適な労働環境、作業リソースのシェアリングといったものを実現し、物流現場の人手不足による課題の解消を図っていきたいと考えています。

――  搬送ロボットでは、他社に類のない珍しい仕組みを取り入れていますね。

大西  そうですね、我々の提供する搬送ロボットは、2台のロボットで荷物を挟みこんで搬送する仕組みを採用しています。物流現場でモノを運ぶ際にはカゴ車や台車を使用しますが、これらに積載する荷物の形状はさまざまで、従来のロボットで自動搬送するには対応した容器へ荷物を移し替えるなどの作業が必要でした。われわれが開発した搬送ロボットは、2台が協調して台車に載った荷物を挟んで運ぶことで、多様な形状の荷物の自動搬送を実現しています。

これには、当社の遠隔制御技術を適用しており、遅延のないデータ通信によって2台のロボットが協調してモノを運ぶことを可能にしています。多くの搬送ロボットが床面のラインをマッピングして走行する仕組みになっていますが、当社のロボットは天井に設置したカメラで測定した位置情報をもとに自らの位置を認識して動いています。そのため、作業者はタブレットで行先を指示するだけで、ロボットが経路を自動生成して動くことができ、作業者が現場にいなくても遠隔で作業を行うことが可能になるというわけです。こうした仕組みによって、従来ではロボットの導入が難しく、人手に依存してしまっていたような搬送でも、自動化や自律化を可能にするというソリューションが、当社の提供する協調搬送ロボットの特徴です。

<協調搬送ロボット>

――  アーム型ロボットに「常識」を持たせるという技術も開発中とのことですが。

大西  従来、ロボットが作業するためには、作業の設計やロボットの姿勢制御といった非常に複雑な設定、あるいは事前のティーチング作業が必要でした。NECでは目標指向タスクプランニング技術を活用することで、そうした事前のティーチングをしなくても、ロボットに実際の作業指示、例えば「このモノをつかんでここに置いてください」といった指示を出すだけで、あとの具体的な作業手順をロボットが自ら考えて実行することを可能にしています。

さらに、研究開発中の「世界モデル」を応用したロボット制御技術を活用すれば、例えばロボットが棚からモノを持ち上げてトレーに移すといった動作を行う際、与えられた常識をもとに人と同じような判断で、モノが棚やトレーなどにぶつからないように持ち上げてそっと置いたり、置く向きを考えて斜めからモノを掴んだりといった高度な動作が可能になります。従来のロボットであれば、かなり難しかった部分です。この技術を用いることで、従来はロボットの適用が難しく人手に頼らざるを得なかった作業に対しても、ロボットで対応できるようになり、人手不足の解消につなげていきたいと考えています。

<世界モデルとは>
20230605 nec5 520x200 - 物流最前線/NECが目指す2030年の物流の姿
ある行動の結果として実世界で何が起こるかを、現実に試すことなく予測することを可能にする技術。実世界理解やロボット活用の促進に向けて機械学習の分野で注目され、国内外で研究開発が盛んに行われている。NECは、この世界モデルをロボットアームの制御AIに応用。過去に試したことのない作業条件でも失敗の少ない最適な動作を自律生成し、実行することで、学習したものとは異なるサイズ・形状かつ不規則に置かれた物品でも的確につかみ取り、所定の位置と向きに正しく置くことを可能にした。

 

<アーム型ロボット>

20230605 nec6 - 物流最前線/NECが目指す2030年の物流の姿

スモールスタートが標準化のカギ

――  昨今の物流業界について感じていることは。

大西  物流には荷主さんと物流事業者さん、大きくこの2つの立場があります。荷主さんの事業のメインは商流ですので、商流を成長または持続させていくための手段として物流を必要としています。一方で、物流事業者さんは荷主さんからアウトソーシングを受けて、物流をサービスとして提供していますが、最近では3PLを活用して、荷主さん側で高度に効率化された物流を構築しているケースが増えてきていると感じています。

従来は荷主側と物流事業者側で役割分担が明確にありましたが、最近はサプライチェーンを通じてお互いが歩み寄って協調しながら、業務全体の設計や役割分担を対話して決めていこうという、そうした雰囲気がかなり醸成されているなという気がしています。

――  2024年問題が関係しているのでしょうか。

大西  そうですね、大きく関係していると思います。過去にSCM(サプライチェーンマネジメント)という言葉が日本にキーワードとして輸入された際もそうでしたが、当時はまだ「できたらいいね」に留まっていました。ですが、今は物流を改善する必要に迫られており「できないと困る」という状況になったことで、今後はサプライチェーンの全体最適化が加速していくと考えています。

――  2024年問題に関する企業からの相談は増えていますか。

大西  2024年問題への直接的な対応に加えて、2024年以降を見据えた間接的な課題解決に対する相談も増えていますね。

――  間接的な課題というのは、庫内作業など輸配送以外の部分の相談ということでしょうか。

大西  そうですね、2024年問題は輸配送領域が主になりますが、輸配送の能力が不足すれば、いくらそこへモノを払い出していく倉庫や物流センターのスループットを上げたところで、滞留が起こってしまいます。そのため、倉庫や物流センター側が間接的にどのような対応をとっていくべきか、あるいは輸配送領域との連携や役割分担をどのように行い、倉庫・物流センター内の荷役活動から輸配送までをトータルでマネジメントしていくべきか、という相談が増えているのを実感しています。

――  そうした相談に対して、御社が提示する解決策は。

大西  輸配送に関しては、先ほどもご紹介しました共同輸配送のプラットフォームです。共同輸配送については、もう何十年も前から存在する課題解決策ではありますが、当時は企業と企業、点と点の座組で、それ以上広がることがありませんでした。そこまで座組を拡大する必要がなかったと言ってしまえばそれまでですが、ある一定のサプライチェーンにおけるプレーヤーの中の最適化・効率化が実現できさえすれば、モノが運べないような事態にはならなかったので、そのメッシュが広がっていかなかったのだと思います。

ですが、現在は座組を拡大する必要性に迫られており、多くの企業がお互い歩み寄って、共同輸配送のプラットフォームに積極的に参画して盛り上げていかなければいけないというような、傾向の変化を顧客企業さんから強く感じています。現在、いろいろな企業さんがプラットフォームへの参画に手を挙げて頂いており、皆さんと実証実験を進めている最中です。今後は、この座組をいかに多くの企業に拡大していくかが重要ですね 。

――  物流ネットワーク全体を最適化するという点では、フィジカルインターネットが注目されています。共同輸配送のプラットフォームは、そこに向けた取り組みでもあるのでしょうか。

大西  おっしゃる通りです。10~20年前はSCMというキーワードが輸入されて、当時はそこを目指して協業革新に取り組む企業さんがいましたが、それでも企業間連携を本当に実現しなければいけないという逼迫感や危機感を持つには至っていなかったと思います。

昨今では、政府もフィジカルインターネットというキーワードを総合物流施策大綱に盛り込んでいますが、企業が持続的な物流を実現しないと自社のビジネスの継続が危ぶまれるということで、1社単独ではサプライチェーンマネジメントを実現し、主導していくのは困難だということが、ここへ来て真実味を帯びてきているのではないでしょうか。そうした発言をされる企業さんが増えているなと、ここ数年で感じています。

――  フィジカルインターネットの実現に向けては、企業ごとに異なっているデータの標準化が課題に挙がっています。その点についてはどのような解決策をお考えですか。

大西  共同輸配送のプラットフォームには現時点でさまざまな業種や業界の企業さんが参画しており、ご指摘の通り業界や業種ごとにEDIのフォーマットも異なっているため、目下、標準化を行っていこうとしている状況です。

国が発表した物流標準化ガイドラインもありますので、そうしたものを参考にしながら、一度に全ての項目をきっちりと揃えるのではなく、まずは最小限の情報から標準化を図っていく方針です。一度にすべてを揃えようとすると、やはり各社さんのハードルが高くなってしまいますので、まずは最小限の情報から始めて次第に情報を加えていくことでより良い結果が出る、という形をとることが必要なのかと思っています。

EDI標準も何年も前に設定はされていますが、なかなか中小企業まで浸透していないという実態があります。これは、オールインワンの形で標準が世の中に出回ってしまったことが原因の一つではないかと考えています。そのため、共同輸配送のプラットフォームでは過去の頒布しなかった事例を踏まえ、標準化すべき領域をある程度にまで限定していこうと思います。

――  今後、NECとしてはどのような形でサプライチェーンや物流の効率化を支援していくのでしょうか。

大西  過去にも巨大な資本力を持ったチャネルキャプテン、例えばアパレルであればSPA(製造小売業)モデルのような垂直統合型のサプライチェーンを自ら構成していった企業さんもいるかと思いますが、そうした取り組みを広く業界としてやっていくためには、ビジネスデータを共有、連携することが必要です。そのためにはデータの標準化が必要になってきますので、過去の失敗を生かして、いきなり100%を実現するのではなく、まずはスコープを絞って段階を追って標準化を進めていこうと思います。

それと、全体を通して最適化するということも非常に重要です。LNEWSさんでも昨今さまざまなソリューションがきら星のように登場しているかと思いますが、サプライチェーンの一工程だけを改善したとしても、全体が最適化されないとあまり意味がなく、結局そこのスループットがどれだけ向上しても、次の工程が改善されないままだったらそこで滞留してしまい、意味をなさなくなってしまします。

やはり個々の部分というよりは全体最適を目指すことが大切で、そのためにはデータをつなげて、そこからどのように全体を最適化していくか、少し前で言うデジタルツイン的な考え方かと思いますが、そうした取り組みを進めることが当社の役割なのではないかと思っています。

――  プラットフォーム上でビジネスデータを連携させることでサプライチェーンの全体最適化を目指していくということですね。

大西  そうですね。当社では従来から食品業界や薬品業界向けのVAN(Value Added Network:付加価値通信網)を構築してきた実績がありますので、そういった素地の延長線上で、今後はサプライチェーン全体のビジネスデータをつないで共有化していく取り組みを、プラットフォーマーとして進めていきたいと思っています。

――  最後にLNEWSの読者へメッセージを。

大西  NECが物流のプラットフォーム事業を展開していこうとしていること自体、現状ではそこまで浸透していないなと感じています。従来、当社では営業部門に新規事業を創造するメンバーが所属し、業種単位で提案を行ってきたのですが、現在は我々スマートILM統括部に新規事業創出のメンバーが集約され、組織として一本化していますので、今後は我々でNECがロジスティクスに注力しているということを改めてアピールしていきたいと思っています。

スマートILM統括部では、企業との共創やコラボレーションに取り組んでいます。ロジスティクスやサプライチェーンの取り組みは、やはり1社や1部門に留まるものではありません。我々はプラットフォームを提供していますが、我々だけで全てを賄えるというふうには考えていませんので、プラットフォームに参画して頂ける企業さんと連携し、冒頭お話しさせていただいたような社会課題の解決につながるような仕組みを一緒に作っていきたいと思っています。ご賛同いただける企業さんがいらっしゃいましたら、ぜひ共創をさせていただきたいです。

(取材・執筆:齋藤康之)

20230605 nec7 - 物流最前線/NECが目指す2030年の物流の姿

■プロフィール
氏名:大西 弘恭
<略歴>
1992年:日本電気入社
1992年:C&C第一流通・サービスシステム事業部担当
2002年:プロセス・CPGソリューション事業部主任
2006年:流通ソリューション事業部マネージャー
2018年:トレード・サービス業ソリューション事業部部長
2022年:スマートILM統括部ディレクター

関連記事

Next-Logiに関する最新ニュース

最新ニュース