日揮、苫小牧埠頭およびエネコートテクノロジーズの3社は10月23日、北海道苫小牧市の物流施設に、エネコートテクノロジーズが開発した次世代太陽電池「ペロブスカイト太陽電池」を設置する共同実証実験を2024年から開始すると発表した。
<エネコートテクノロジーズが開発したペロブスカイト太陽電池>
設置場所として想定する物流施設(倉庫やサイロなど)での実証実験は国内初となり、屋根や壁面向けの新たな設置方法を開発・実証する。また、北海道におけるペロブスカイト太陽電池の実用化に向けた実証実験は初めてであり、寒冷地におけるデータ収集も可能となる。
ペロブスカイト太陽電池は、ペロブスカイトと呼ばれる結晶構造を用いた次世代太陽電池。シリコン系太陽電池に比べ「薄く軽くフレキシブル」であるため、設置対象の場所の範囲が広がるのが特長だ。
日揮は、2012年にいち早く太陽光発電事業に参入するなど、再生可能エネルギー分野において国内屈指の発電所建設実績を持ち、ペロブスカイト太陽電池においても、エネコートテクノロジーズへ出資を行っている。
エネコートテクノロジーズは、京都大学発のスタートアップ企業。ペロブスカイト太陽電池の材料技術や成膜技術を有しており、今年4月にはモジュール変換効率19.4パーセントという高効率のフィルム型ペロブスカイト太陽電池の開発に成功した。
苫小牧埠頭は、北日本最大の国際貿易港である苫小牧港を中心に、北海道の産業や生活を支える物流事業を展開。3社は、苫小牧での実証を通じてペロブスカイト太陽電池の社会実装の早期実現に寄与できると考え、共同実証実験に取り組むこととした。
実証実験は2024年春から約1年間の予定。発電効率の測定・予測値と実測値の比較や、塩害・降雪地域での耐久性、既存の倉庫屋根や建物曲面への太陽電池モジュールの設置方法について検証を行う。
苫小牧市は曇りの日が多いとされ、低照度でも発電できるというペロブスカイト太陽電池の特長を生かすことができる。また、苫小牧埠頭が立地する物流施設は湿潤かつ塩気が多い港湾地域に面しており、こうした一見適地とは言えない場所での実証も可能となる。
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