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YEデジタル/自動化を次のレベルへ WESで描く物流の未来予想図

2023年12月05日/IT・機器

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YE DIGITAL(YEデジタル)は11月22日、Webセミナー「物流の未来予想図」を開催した。

<YEデジタル 玉井 裕治 社長>
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セミナーは、物流のDXと倉庫自動化の進展を通じて、2024年問題や人手不足といった物流業界の課題をいかに乗り越え、効率と持続可能性を追求するかを検討する場として開催したもの。

「2024年問題をはじめとする物流業界の課題に立ち向かう方法を、さまざまな方と話し合い、新たな知見を得る場として、今後の発展に向けた連携のきっかけにして欲しい。有益な学びと交流の場になる事を期待している」という、YEデジタル 玉井 裕治社長の挨拶でスタートした。

<YEデジタル 組込・制御システム本部 物流DX事業推進部 浅成 直也 部長>
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YEデジタルからは、組込・制御システム本部 物流DX事業推進部の浅成 直也 部長が登壇。「倉庫自動化の未来」を講演テーマに掲げ、同社が提供する倉庫の自動化に特化したWES(倉庫実行システム)「MMLogiStation(エムエム ロジステーション)」を用いた、物流センターの自動化進展によって生じる課題の解決策を紹介した。

浅成氏は、今後、倉庫の自動化が進展するとともに、トラックの自動運転やドローン物流など新たな配送手法が確立されることで、完全自動化の物流センターが2030年に立ち上がるという「物流現場の未来予想図」を紹介。そして、これを実現するためには、メーカーの縛りがなく複数のマテハン設備を制御でき、オペレーションやビジネスの変化にも柔軟に対応が可能で、自動運転やドローンなど外部システムとも連携できる倉庫システムが求められるが、現状のWMS(倉庫管理システム)単独による管理では実現が不可能だとし、その理由として、WMSが度重なる改修によって複雑肥大化し、拡張性を失っていることを挙げた。

WMS単独で管理している物流現場では、新たに自動化設備を導入する際、業務変更を最小限に留めるため、既存のWMSをカスタマイズすることで対応しているケースが多く、自動化設備を追加するたびに行うカスタマイズが、結果としてWMSを複雑肥大化させ、システムの拡張性が低下し、倉庫自動化の足枷になっているという。

この課題を解決する手段として、YEデジタルではWESの導入を提唱。「WMSからWESへ自動化機器と連携する役割を分離することで、WMSの改修を最小限にとどめ、WMSを複雑肥大化させることなく、新たな自動化設備を導入することが可能になる」と、導入効果を説明した。

そのうえで、浅成氏は自社で提供するWES「MMLogiStation」の特長として、連携しているメーカーのマテハン機器をスピーディーに接続できる「プラグイン機能」と、自動化機器を導入した後のオペレーションを作成し、画像で分かりやすく表示する「オペレーションデザイナー機能」を紹介。さらに、アビームコンサルティングと共同開発した倉庫管理の意思決定支援ダッシュボード機能を2024年3月にリリースするとし、「これらの機能によってレガシーシステムからの脱却し、自動化を次の段階へ引き上げることが可能になる」と語った。

<カインズ ロジスティクス事業部 物流インフラ開発部 石那田 篤 部長>
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また、セミナーでは、MMLogiStationの採用企業としてカインズが登場。同社ロジスティクス事業部 物流インフラ開発部の石那田 篤 部長が登壇し、三重県桑名市に新設する次世代物流センター「桑名流通センター」でのMMLogiStationの活用事例を紹介した。

同社は国内に15か所、海外に5か所の物流センターを設け、店舗へのジャストインタイム納品を実現。桑名物流センターは、中部・西日本エリアに立地する店舗への配送機能と、海外荷物の保管機能を併せ持った「西のマザーセンター」として2024年2月の稼働開始を予定している。

同センターでは、2024年問題による課題の解決に向けて、トラックドライバーの負担を軽減するため、ドライバーの確保や持続可能な物流を実現するための取り組みを行っており、持続可能な物流の実現に向けてマテハンを導入し、付帯作業を機械化することで作業の効率化を図ろうとしている。

具体的には、入荷や工程間搬送、保管、出荷までの10工程に、7社の異なるメーカーのマテハンを導入。入荷作業では、自走式ロボットを用いたコンテナからの無人荷下ろしについて実証実験を進めているという。

一方で、これらの大規模な機械化を実施するうえではマテハン同士の連携が必要だが、各マテハンを上位システムであるWMSへ繋ぎ込む必要があり、その際の改修工数やコストなど開発負担が課題になっていた。また、同センターは4階建ての多層構造のため、階層間でのマテハン連携と一元制御による安定稼働が求められており、将来にマテハンを追加導入する際の拡張性も求められていた。

石那田は、これらの課題解決にMMLogiStationが寄与したと説明。「MMLogiStationを導入し、WMSからマテハンの制御機能を分離することで、WMS側の改修を圧倒的に減らすことができた。また、WMSが担っていた役割をWESと二分したことで、システムのエラーポイントを発見しやすくなった。プラグイン機能によってマテハンの導入もスピーディーに行うことができた」と、導入の成果を語った。

<エルテックラボ 菊田 一郎 代表>
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このほか、同セミナーでは、基調講演にエルテックラボの代表を務める物流ジャーナリストの菊田 一郎氏が登壇し、DX(デジタルトランスフォーメーション)、EX(従業員体験改革)、GX(グリーントランスフォーメーション)の3つが、持続可能な物流を実現し、2024年問題を乗り切るために必要であることを解説。

省力化・自動化・ロボット化による生産性向上の実現、ホワイト物流によるドライバーなど物流従事者が安心して働ける環境の整備、グリーン物流による環境保全といったDX、EX、GXそれぞれの取り組みを紹介し、「皆でこれらに挑戦し、物流SDGsを達成しましょう」と呼びかけた。

<国土交通省 物流・自動車局 物流政策課 笹口 朋亮 物流効率化調査官>
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特別講演では、国土交通省 物流・自動車局 物流政策課の笹口 朋亮 物流効率化調査官が、政策パッケージと緊急パッケージによって同省が進める物流革新への取り組みを紹介した。

笹口氏は、物流を取り巻く課題として、BtoB物流の小口多頻度化によるコスト転嫁の難しさや、長時間・低賃金労働によるトラック事業者の人手不足、2024年問題解決に向けての宅配便の再配達削減の重要性などを指摘。そのうえで、政策パッケージの3本の柱「荷主・物流事業者間の商慣行の見直し」「物流の標準化やDX・GX等による効率化の推進」「荷主や消費者の行動変容を促す仕組みの導入」に加えて、10月に取りまとめた緊急パッケージによる施策によって、2024年に想定される14.3ポイントの労働力不足を補うと説明した。

<アビームコンサルティング エンタープライズトランスフォーメーションビジネスユニット デジタルプロセス&イノベーショングループ SCMセクター 桒迫 勇次マネージャー>
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同じく特別講演に登壇したアビームコンサルティング エンタープライズトランスフォーメーションビジネスユニット デジタルプロセス&イノベーショングループ SCMセクターの桒迫 勇次マネージャーからは、サプライチェーンが複雑さを増す中で、持続可能なサプライチェーンを構築するための、柔軟で機敏性のある物流基盤構築の必要性を説明。

解決へのアプローチとして「他の輸送手段とつなげる(モーダルシフト、共同輸送)」「輸送距離を縮める(地産地消化)」「サービスレベルを緩める(納品頻度やルート指定の見直し)」「トラック輸送の時間を延ばす(荷待ち・荷下ろし時間の削減)」を、具体策としてサプライチェーンネットワーク(SCN)の再構築と、物流センター運営の最適化を挙げ、SCN再構築にはサプライチェーン全体最適視点での施策、物流センター運営の最適化には全体の生産性が最大化するオペレーションが必要だと語った。

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