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物流最前線 ダイフクのマテハン戦略

2019年10月29日/物流最前線

IoT、AI、ロボット化で自動化目指す

<阿武 寛二 常務執行役員>

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<食品量販店向けの物流センターで稼働するケース自動倉庫>

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<パレタイズロボットで省人化>

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―― しかし、顧客のピッキング自動化の要望は高いという事ですね。

阿武 そうしたニーズへの対応は喫緊の課題と考えています。ロングテール商品のピッキングは無理にしても、「ここまではできる」という範囲があります。形や重量等さまざまな問題がついて回ることは確かですが、扱うものが決まっていればある程度の対応は可能だと思います。

―― ピッキングロボット等の開発でさまざまなベンチャー企業が登場しています。

阿武 企業が単独で一から開発するのはコストも時間もかかります。当社においても大学との共同研究を進めておりますが、今後も、さまざまな方策を検討していきます。

―― 自動化の一つとしてAGV(無人搬送車)の市場が活気づいていますね。

阿武 AGVの導入は圧倒的に進んでいますね。当社でも古くから展開していますが、これはプラスチックコンテナなどのケース専用です。最近よく話題になっているAGVは、アソート(詰め合わせること)のために使われています。アソートにはさまざま方法があり、ソーターで行うこともあります。導入するセンターのスペースであったり、能力的な面であったり、どこに優位性を持たせるかにより、変わってきます。当社では顧客の要望に沿ったソリューションの提供を行っています。

―― AIの利用も活発になってきました。

阿武 物流関係でのAIやIoT技術というと、当社ではシステムの故障診断の領域で活用しています。ダイフクには、これまでに納入したシステムの膨大なデータがあります。このデータをAIに学習させ、システムの予防保全に役立てようと考えています。

―― 「予防保全」とはどのようなものですか。

阿武 機械に故障が生じるのはやむを得ないことですが、物流センターのオペレーションを長時間止めることは絶対に避けなければなりません。そのためには、トラブル発生時の早期対応がとても大切です。予防保全とは、文字通り、故障する前に予防する、故障するのを予知するといったものです。カメラやセンサーを組み込んだシステムをインターネット上で監視すれば、その履歴から故障部の特定や、故障原因の解明などが遠隔でもできるようになります。昨今、カメラの技術が発達しており、以前とは格段に進歩しています。自動車に付けているドライブレコーダと同じで、何かの事象をきっかけに、トラブルが発生する前の一定時間の映像を自動保存します。

―― トラブル前の映像が必要とは。

阿武 トラブルが発生した場合の根本原因を探るためです。システムが停止した要因が分かったとしても、なぜそれが故障要因となったかの根本原因を探らないと再度発生してしまう可能性があります。そのためには、トラブル時の状況を前の段階から見ないと分からないことが多いのです。例えばセンサーが反応してシステムが止まったとしたら、センサーが何を検知したのかを探らなければなりません。仕様とかけ離れた荷物が搬送されていたのかも知れません。

―― 映像や通信技術の進歩はすさまじいです。

阿武 本当にそう思いますね。来春、5Gが始まりますが、これによって新たなソリューションの開発も容易になると思います。

―― そうなるとサービス体制も変わってきますね。

阿武 現在、サービススタッフ全員にタブレットPCを持たせており、当社システムの回路図とか、センサーの種類といった技術的な情報を常時携帯させています。

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